- 方法の無意識 ―方法の発露2020―
- 企画趣旨
- 第5回となる2020年の展覧会では、「方法の無意識」というサブテーマを設けて、ある選択された方法において通常問われることがなくなっている前提や所与というものを、改めて問う機会としています。ここでいう前提や所与とは、例えば素材の扱い方や制作上の手順に関連していたり、「作品」「完成」などといった美学的概念のことであったり、「方法」「過程」「目的」などといったより方法論的・哲学的な観念に関してであったり、あるいは素材の流通と消費、展示空間などといった社会的現実と関わる事柄であったりします。制作する意識の地平に普段は現れてこない「無意識」を問い直すという課題に対し、出品作家たちがどのようなスタンスで臨んでくるのか、企画者として楽しみにしています。 会場は、茶会などで親しまれている昭和初期の住宅「旧中村邸」。出品作家が第4回までのホワイト・キューブとは異なる空間とどんなふうに切り結んでいくのかも、本展の見どころのひとつです。
- 出品作家
- 橋本真之(1947年生) 鍛金 金沢美術工芸大学大学院客員教授 黒川弘毅(1952年生) ブロンズ 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科教授 奥村綱雄(1962年生) 刺繍/インスタレーション 美術家 荻野僚介(1970年生) 絵画 画家 藪内公美(1980年生) 鍛金 北陸先端科学技術大学院大学特任助教 小守郁実(1990年生) 染織 染織作家 金保 洋(1991年生) 漆造形 金沢美術工芸大学教務助手
- 企画担当プロフィール
- 渋谷拓 SHIBUYA Taku(1972年生) 専門は博物館学、近現代美術/元埼玉県立近代美術館学芸員(2008-2019年)/現在、金沢美術工芸大学准教授。 主な企画に「橋本真之《果実の中の木もれ陽》第3次増殖・公開制作」(埼玉県立近代美術館、2016年)、「アーティスト・プロジェクト#2.01 齋藤春佳『飲めないジュースが現実ではないのだとしたら、私たちはこの形でこの世界にいないだろう』」(埼玉県立近代美術館、2017年)、「遠藤利克展―聖性の考古学」(埼玉県立近代美術館、2017年)など。